35. 手遅れ医者
'Too Late' Doctor
英語で小噺
English Rakugo Short Stories
by 鹿鳴家 英楽 (Kanariya Eiraku)
和訳
いつも「手遅れです」と患者に告げる医者がいました。
患者が亡くなっても、医者が手遅れと言っているのですから、家族はあきらめがつきます。
患者が回復すると、手遅れな患者を治したということで、家族は医者にとても感謝します。
でも、これがうまくいかないこともあります。
男: 先生、私の弟が二階で仕事をしていたんですが、
足を滑らせて階段から落ちてしまったんです。
医者: なるほど、それはいけませんね。見せてください。
男: どうですか?
医者: 手遅れです。
男: えっ?
落ちてからすぐに連れてきたんですよ。
手遅れというのなら、いつ連れてきたらよかったんですか?
医者: 落ちる前に連れてきて欲しかった。
Script
Once there was a doctor who always said “it’s too late” to the patient.
When the patient died, the family gave it up because the doctor said “it’s too late”.
When the patient recovered, the family thanked the doctor a lot because he cured the patient even though it was too late.
But it doesn’t always work.
M: Doctor, my brother was working on the second floor.
He has slipped and fallen down the stairs.
D: Oh, I see. That’s too bad. Let me see.
M: How is he?
D: It’s too late.
M: What?
I brought him right after he fell.
If you say it’s too late, when should I have brought him?
D: Before he fell.
ポイント
should have p.p(過去分詞) ~すべきだった
I should have studied it. なら、「それを勉強しておけばよかった」という意味になり、後悔の念を表します。
give up あきらめる
recover 回復する
cure 治す
医者小噺というと、No. 8で紹介した「葛根湯医者」がよく知られています。落語家さんも寄席でよくやります。